平成15年第4回鹿角市議会定例会(行政報告)
平成15年6月2日報告
平成15年第4回鹿角市議会定例会の開催にあたり、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
はじめに、経済動向と財政運営についてでありますが、
最近の経済動向は、企業収益の改善や設備投資の持ち直し、輸出の緩やかな増加基調といったプラスの判断材料がある一方で、失業率が高水準で推移していることや株価の動向、新型肺炎(SARS)、さらにはアメリカ経済等の先行きをめぐる不透明感の影響により我が国の最終需要が引き続き下押しされる懸念もあり、総じておおむね横ばいとの基調判断を示しております。
設備投資においては、平成13年以降減少が続いてきておりましたが、企業収益の改善等を受けて持ち直しの動きが見られるものの、最終需要の先行きが依然不透明なことを受けて当面は緩慢なものにとどまることが見込まれておりますし、生産面においても、こうした影響を受け、全体では引き続き、やや弱含みの展開で推移しております。
本市においては、一部業種に底堅さも見受けられるものの、生産活動は総じて足踏み状態が続いているほか、厳しい雇用・所得環境が続く中にあって最終需要面でも個人消費の横這いないし減少基調が続くなど、管内の景気動向は依然として厳しい状況が続いております。
建築・土木関連工事では、公共工事の量的削減の影響や民間工事部門の減少基調と併せ、個人住宅部門では市外業者の参入により厳しい受注競争が依然続いている状況にありますし、製材は、個人住宅着工の減少基調から依然木材需要の停滞による減産が続いており、市況も弱含んでいる状況にあります。
また木材では、合板等の需要が好調なことから原木が品薄気味となっておりますが、市況は横ばいで推移しております。
地元商店街は、総じて長引く景気低迷や雇用情勢の悪化等の影響により依然厳しい状況が続いております。
中でも大型小売店の飲・食料品売上高や乗用車販売等は堅調に推移しているものの、白物家電を中心とした家電品販売の売れ行きが鈍く、また衣料品では冬物の売上が不振であったほか、食料品では大型店や安売り店への顧客流出により減収・減益が続く状況となっております。
管内の雇用情勢については、季節的な求人が一段落した影響等もあり、管内の有効求人倍率が0.26倍(4月)と前年同期比で0.02ポイント、前月比で0.08ポイント下回っており、求人数の低迷と求職者の滞留が続くなど、45歳以上の中高年齢者を含めて依然として厳しい状況が続いております。
次に、国際交流事業についてでありますが、
鹿角国際交流協会では、7月27日から9日間の日程で、青少年6人をショプロン市へホームステイ派遣し、8月にはショプロン市から再開を要望されておりました日本語語学指導員派遣事業を実施する予定としており、本年3月に候補者を決定いたしております。
中国武威市涼州区との交流につきましては、涼州区長をはじめとする行政関係者と涼州区経済関係者の受入を行い、教育文化・産業経済交流について具体的な協議をする予定でありますが、昨今の新型肺炎の問題から、現在のところビザ等の関係に影響があり、招聘時期につきましては不透明な状況にあります。
いずれにいたしましても、ショプロン市、涼州区との交流につきましては、内外の情報収集に努めながら、訪問団の派遣・受入等、安全面に十分な配慮をして推進してまいります。
次に農業関係についてでありますが、
水稲につきましては、天候に恵まれたこともあり、耕起・代掻き作業が順調に進み、田植えは例年並みの5月18日がピークとなり25日でほぼ終了しております。今後は、渇水期の水不足が懸念される地域について関係機関との連携を密にして情報収集に努めながら対応してまいります。
りんごにつきましては、4月下旬に一部地域で霜害が心配されましたが、開花が平年並みに推移したことから大きな被害には至っておりません。
また、5月上旬に霜注意報が発令されましたが、その都度、関係機関と連携し、広報車での巡回指導を行うとともに被害状況の調査を実施しており、現在のところ摘花作業で対処できる程度と確認しておりますが、引き続き遅霜被害に対する注意を呼びかけながら管理面においても関係機関と協議しながら指導してまいります。
ももにつきましては、先にもも生産出荷グループが商標登録申請しておりました「かづの北限」が確定し、今後は、もものブランド化に向けた販売戦略が重要であることから、今年度の作付面積拡大に向けて支援してまいります。
野菜や葉たばこ等の畑作の状況につきましては、ほぼ順調に生育しておりますが、気温が一時的に低くなるなど、今後も遅霜を含めて農作物への影響が心配されますので、その対策についても時期を失しないように対応してまいります。
新規就農者等の確保や担い手育成のための支援につきましては、昨年に引き続きフロンティア農業者研修で秋田県畜産試験場に1人、また、市単独事業である戦略作物新規即戦力農業者育成事業で3人が4月からそれぞれ研修をしております。研修で得た知識を最大限に活用し、将来の鹿角農業の担い手となりうるようその育成に努めてまいります。
生産調整につきましては、今年度は昨年度より78ヘクタール増の1,323ヘクタールの転作面積が配分されておりますが、計画書を取りまとめたところ、目標を達成できる見込みであります。
公共牧野への牛の放牧につきましては、5月4日の川島牧野を皮切りに12日の熊取平基幹牧野への放牧で無事終了しており、今年度の放牧申込頭数は成牛及び育成牛合わせて昨年度を若干上回る297頭となっております。
次に、圃場整備等についてでありますが、
第5次総合計画では「活力ある農林業と魅力ある農山村の振興」を掲げ、事業を推進してきておりますが、特に未圃場整備地区の草木・大湯地区を重点地域に取り組んでまいりました。
二本柳地区では先月からハード事業である区画整理に着手され、寺鉢川地区も4月に法手続が終了し、間もなく事業認可採択の予定であり、区画整理実施設計費の国費、県費補助金の予算割当が決定しております。
その他、県営、市営規模の事業における生産基盤整備と農村生活環境整備等の充実を目指し、鹿角市全域で事業を展開しておりますが、特に、平成13年度に策定した「鹿角市農業振興総合整備事業マスタープラン」3地区のうち、「十和田地区」について基本計画、実施計画、実施設計が認可され、現在実施設計発注の準備を進めているところであり、生産基盤の安定と農業所得向上に向けて着実に事業の推進を図っております。
農業経営体の体質強化につきましては、平成11年度から平成14年度にかけて、市内の6土地改良区による「鹿角地区土地改良区統合整備推進事業」で、研究会・協議会を立ち上げ、合併に向けての意思の疎通及び協議がなされてまいりましたが、各改良区の理事長並びに役員等の将来を見据えた英断により、1月22日に合併予備契約が締結され、その後、合併準備設立委員会の設置を経て、本年4月1日付けで、秋田県知事から認可がなされております。
これに伴い、総代選挙が去る5月20日告示され、各地区とも届出人が定員を上回らなかったため、27日の選挙会を経て新総代60人が正式に決定しております。
一市、一土地改良区としての出発は本市にとりましても意義深く、今後における多面的な施設機能の管理運営強化と準公共団体としての役割の明確化が図られていくものと強く期待をしております。
次に、観光関係についてでありますが、
ゴールデンウィーク中の観光客の入り込み状況につきましては、今年度は昨年のように新たにオープンした施設が無く、また、連休も最大で3連休が1つと日程的にも恵まれなかったこともあり、市内の主要な観光施設等の利用状況は、昨年と比較して約30%の減少となっており、鹿角八幡平、十和田の両インターチェンジの利用台数も13%の減少となっております。
一方、宿泊施設においては、今年度は期間の前半が40%増、全体でも約20%増加しており、昨年は桜の開花が早まったことにより落ち込んだことを割り引いても、旅行者全体が減少している中で健闘が目立っております。
また、5月5日に花輪地区の商店街で開催された「子供フェア」は、天候にも恵まれ昨年より約10%増の1万人の人出となっております。
なお、大湯温泉郷におけるJR東日本の旅行企画が4月26日から始まっておりますが、徐々に観光客が入っている状況と伺っており、今後の入込みを期待しているところであります。
次に商工関係についてでありますが、
民間が事業主体となるTMO構想につきましては、商業活性化を目的とする中心市街地の将来像とその実現のためのプランが平成15年度から19年度の5年間について策定されております。
TMOの組織化につきましては、現在、発起人会開催に向け準備会を設立しており、市としましてもTMO予定者、関係機関等と協議しながら支援をしてまいります。
次に、雇用情勢についてでありますが、
再就職緊急支援奨励金事業につきましては、5月9日まで分の交付対象と認められる再就職は20件となっております。
また、平成15年新規学卒者の就職につきましては、就職希望者128人に対し、4月末現在、県内外とも100%の就職内定率を達成しております。
次に、福祉関係についてでありますが、
保育園の入園児童数につきましては、認可保育園は今年度当初830人で昨年対比50人増、入園率115.2%となっておりますが、へき地保育園は169人で昨年対比5人減、入園率57.2%と定員を大きく下回っている状況となっております。
放課後児童健全育成事業につきましては、花輪児童クラブをはじめ5つのクラブで4月1日現在409人が登録しており、前年より79人の増となっております。
また、4月1日から財団法人鹿角市子ども未来事業団に運営を委託しております、花輪さくら保育園ほか認可保育園3園及びへき地保育園7園につきましては、順調に運営がなされていると伺っております。
(仮称)総合福祉センター建設事業につきましては、昨年度末までに実施設計を終え、現在、秋田県からの補助内示を受け、工事発注に向け準備を進めておりますが、その手続きに時間を要することから、改めて臨時議会をお願いし、契約議案を提案させていただく予定であります。
次に、教育関係についてでありますが、
今年度からスタートする「学校評議員制度」につきましては、「学校が家庭・地域社会と一体となって教育を推進し、開かれた学校づくり並びに特色ある学校づくり」に資するため、市立小中学校に学区内の保護者・有識者及び地域代表者からなる評議員を置き、教育活動の実施や家庭と地域社会との連携の進め方など、学校運営に関し意見、助言をいただき、地域の特色を盛り込んだ学校運営を行おうとするものであります。
評議員は各小中学校5人以内とし、評議員会議の開催は年2回を予定しておりますが、明日1回目の会議を開催し、学校長から推薦を受けた78人の方々に委嘱状の交付を行うとともに、全体会で今後の基本的な方針事項を決定し、報告書の作成に取り組むこととしております。
次に、「子ども読書活動文部科学大臣表彰」受賞についてでありますが、
「子ども読書の日」にあたる去る4月23日、十和田末広大欠、子どもバス図書館「なかよし」代表者の虎渡美智子さんが、「読書活動優良実践団体表彰」として文部科学大臣表彰を受賞しております。
受賞理由は、子ども達に読書の楽しさを与えたことでありますが、特に、廃バスを利用した子どもバス図書館として私設図書館を開設し、28年間の長きにわたり図書の数を増やすために、大人と子どもが主体的に取り組まれ、地区の子ども達の読書活動推進に大きく貢献したことが高く評価されております。
当日は、虎渡美智子さんが受賞者を代表して、これまでの活動について発表を行っておりますが、大変感動的であったとの報告を受けております。
今後は、虎渡さんのこれまでの活動と受賞内容を広く市民に周知し、読書意欲を高める活動をさらに展開してまいりたいと考えております。
次に、保健師の採用試験についてでありますが、
昨年度実施した職員採用試験により、保健師職員として合格し採用内定を受けた者が、採用条件である保健師資格を取得できなかったため採用を見送っております。
その後、任用候補者補充名簿に登載された受験者に対し、市職員として勤務が可能かどうか意向を確認しましたが、既に就職先が内定していたことなどにより採用に至りませんでした。
市としましては、保健師職員の不足を早急に補う必要があることから、5月1日から受験者の募集を開始し、7月1日付での採用に向けて6月18日に採用試験を実施することとしております。
次に、補正予算の概要についてでありますが、
今回の一般会計補正予算は、当初予算の編成時において確定できなかった事業及び国・県の補助事業の確定に伴う事業の追加調整並びに定期人事異動に伴う人件費の調整を中心に編成いたしました。
その結果、補正額は1億12万8千円の追加となり、補正後の予算総額は164億315万4千円となっており、前年同期と比較し、総額で12億7,523万9千円、率にして7.2%の減になっております。
補正財源は、事業に関連する国・県支出金及び市債等の特定財源のほか、市税及び前年度繰越金を充当しております。
補正予算の内容は、(仮称)八幡平こども未来創造センター建設に係る用地取得並びに基本設計等の関連経費のほか、寺鉢川地区県営ほ場整備事業費、市単独道路整備事業費、緊急地域雇用創出特別基金事業費等を計上したほか、集成材加工施設導入支援事業費補助金に係る債務負担行為の追加補正を行っております。
特別会計につきましては、老人保健事業特別会計、下水道事業特別会計、簡易水道事業特別会計及び上水道事業会計の4会計において、定期人事異動に伴う人件費の調整のほか、老人保健事業特別会計では過年度分の医療費交付金の追加と審査支払手数料交付金の返還金の追加、下水道事業特別会計では国庫補助の追加配分による補助事業費の追加、簡易水道事業特別会計では、県砂防工事関連の配水管移設工事費の追加、上水道事業会計では公共下水道関連の配水管等移設に伴う給水装置受託工事と配水管等移設工事の追加補正を行っております。
本定例会には、報告4件、条例案件2件、補正予算案件5件、合わせて11件のご審議をお願いいたしております。
詳細につきましては、それぞれの担当部長から説明申し上げますので、よろしくご審議のうえ、ご可決賜わりますようお願いいたします。